好熱菌発酵産物の研究

好熱菌発酵産物の生理機能の研究

好熱菌発酵産物とは?


好熱菌発酵産物とは、未利用資源を高温で発酵させた農業用資材です。

好熱菌による高温発酵技術は、日環科学株式会社と株式会社三六九が共同開発した技術です。製造販売は京葉プラントエンジニアリングが実施しています。

発酵はバクテリアによる自己発酵熱により加温することなく、70度以上に達する高温下で行われます。この過程により病害菌などの混入を防ぐことができます。

発酵産物には、納豆菌などが含まれるバクテリアのグループであるBacillus属とその近縁の属のバクテリアが多く含まれます。

動物に与える影響


好熱菌発酵産物は家畜の発酵飼料として利用されています。すると、図に示したようないろいろな生理作用が観察されます。これらの生理作用は、家畜の腸内環境を変える働きをもつバクテリアが発酵産物中に含まれるためと考えられます。実際に、腸に生きて届く好熱性バクテリアが単離され、子ブタの成長を促進する働きのあるバクテリア(BP-863株)が同定されました。これらの成果から、2013年にベンチャー企業(株式会社サーマス)が起業されました。

さらに発酵飼料を用いて生産されたブタ肉には、ビタミンB1が豊富で不飽和脂肪酸の割合が増加し、筋肉中のタンパク質量、およびカルノシンなどの遊離アミノ酸量が増えることがわかりました。この豚肉をノンメタポークとしてブランド化することが進行中です。

植物に与える影響


好熱菌発酵産物を投与して作物を育てると、病気にかかりにくくなり、収量が増加することから、農家に利用されています。農家が実感している特徴を整理すると上記のような項目が挙げられます。このうち、硝酸含量の低下については、土壌中の余分な硝酸を発酵産物に含まれるバクテリアが窒素に変換して脱窒することが原因の一つであることがわかりました。

研究室では、病害虫被害が減少する理由などについて、研究を進めています。