ニンジンの研究

日本で馴染みのあるオレンジ色のニンジンの色はカロテノイドによるものですが、紫ニンジンの紫色はアントシアニンによるものです。紫ニンジンのアントシアニンは食用色素として利用されており、広く流通しています。紫ニンジンのアントシアニンは糖が3つと有機酸が1つ結合した構造をしており、単純な構造のアントシアニンよりも構造の安定性が高いことが知られています。この3つめの配糖化を担う酵素遺伝子がまだ同定されていないため、研究を進めています。

KogaS, MiyaharaT, NishizakiY, TamuraK, OkamotoE, KawagishiH, SakuraiK, KanekoY, Kumakubo R, TanakaT, Ozeki Y, Sasaki N. (2024) Anthocyanin glucosylation mediated by a glycoside hydrolase family 3 protein in purple carrot. The Plant Journal (https://doi.org/10.1111/tpj.16886)
紫ニンジンのアントシアニンへのグルコース配糖化酵素遺伝子を同定しました。GH3に属する配糖化酵素の報告はこれまで例がなく、またこの発見により紫ニンジンのアントシアニン修飾に関わる酵素遺伝子は全て同定されました。

Miyahara, T., Satoh, S., Maeda, K., Kimura, S., Sasaki, N., Ozeki Y. (2010). Isolation of Daucus carota ethylene insensitive 3-like (DcEIL) involved in stress-inducible DcMYB1 expression in suspension-cultured carrot cells. Plant Biotechnology 27: 91-97. https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.27.91
環境ストレスによりアントシアニン合成を促進させる転写因子であるDcMYB1 の発現をDcEILが制御していることを報告しました。